ハブダイナモ風力発電
自転車屋さんに注文していたシマノのハブダイナモHB-NX20(定格6.0V 2.4W)が届いた。早速手で回してみるとリムダイナモと比べとはるかにトルクは強いものの少し(1/4回転程度)回しただけで発電を始め、さらに前後にちょっと早めにまわして電圧を測ると何と針が12Vを振り切ったのには驚かされた(負荷をかけなければ30V以上出る)
 スグレモノ
 シマノのハブダイナモ HB-NX20
先ず、どのようにしてハブダイナモ本体にプロペラを取り付けるか、というのが最初にして最大の関門であった。
とりあえずスポークの穴を利用しない手はない。そこでそれに合いそうな既製品をあちこち探したが発見に至らず。結局加工の手間が一番省けそうな金具(2x4木材を連結する金具)をの字に曲げスポークの穴に合わして穴を開けて取り付けることにした。
発電機側の取り付け部分が狭くその曲線に合わせて金具を加工するのが全工程で唯一加工らしい加工であった。
(他にプロペラを本体に取り付けるいいアイデアがあるかも知れない)
右側が加工前の2x4金具
左3個が加工した金具 1枚70円
金具をダイナモ本体に
3mmのボルトで取り付けたところ。
金具の中心にプロペラを取り付けるL型金具用の6ミリの穴を開ける。
ところで自転車のダイナモは交流(AC)で発電している。だから乾電池を充電したり、LEDを点灯させる場合はDCに変換しなければならない。変換といってもダイオードブリッジ1個(260円)をコードの途中に入れてやるだけでOK。しかし、せっかくの発電をLED(発光ダイオード)で確認してみようと、コンデンサー(これがないと安定した光りが得られない)と抵抗(LEDの作動範囲はモノにもよるが約1.5V 〜3.6V )を入れ点滅の赤色LSDを取り付けた。
また乾電池を充電した場合電池の逆流を防ぐためのダイオードを回路に組み込み、100円ショップで見つけた電池の容量チェッカーのメーターを取り外して、006P(9V)の測定用の配線を引っ張り出し回路につないだ(今のところ大変よく働いている)

ケースは100円ショップの弁当箱
(写真の乾電池は充電用のバッテリーではない)

下方の赤黒の配線接続器は右2つが発電機からのACin 左側がDCout.

当初プロペラは木を削りだし、胴体や尾翼も木板で作ってみたが、全体的なバランスや強度、重量、手間暇等でシックリいかず、他に適当な材料がないかと探していたところ雨にも強く加工もしやすい「複合版」という代物があると知り、早速ホームセンターから購入。これは柔らかいプラスチックのような板を薄いアルミ板で覆ったもので、金切ノコで簡単に切断できコーナーはハサミでも切ることが出来る。更に価格も910x450x3mmで1050円と大変リーズナブル。また両面のアルミ板をビニールで覆ってあるためマジック等で大胆に下書きしてもビニールを剥せば真っ新なアルミカラー(他に黒色や白もあった)が出てくる。ただ、ボルト・ナット等で固定する場合はワッシャーを忘れてはならない。
プロペラ400x100(長)50mm(短)
尾翼は後日形体変更
胴体と回転軸は釣り用ゴムボートの艤装に使っているイレクターにした。(組立てが簡単で強度も十分、ジョイントはメタルジョイントHJ-1)
その他の接続パーツはホームセンターで購入したL型金具、90度ひねった金具、パイプバンドで材料が揃えば簡単に組み立てられる。
60pのイレクターx2本とジョイント
他にパイプキャップ2個有り。
接続パーツ類
パイプバンド(左)胴体と発電機を接続。
L型金具(左から2番3本) プロペラと発電機本体を接続。
その他の金具(右4個) 発電機と胴体を接続。

胴体の組立て。





発電機のクイックレリーズで胴体と合体。
プロペラの角度はL型金具で調整。

プロペラと尾翼を取り付けてほぼ完成。
すぐれものとはいえ6V2.4W(定格)は実用性には乏しい。だからせめて小さくても本物の風力発電機であることを実証するため本体の上部と尾翼に点滅の発光ダイオード取り付けた。パーツはACDC変換の簡単な回路を100円ショップで手に入れたトラベル容器(直径4センチ程のプラスチックケース、耐久性に不安有り)に窮屈に容れこみ本体上部にLEDと共に取り付けてみた。回路はもっと目立たないところに収納したいと思っている。
L型金具にダイオードブリッジ、コンデンサー、抵抗を入れた容器とLED(下は反射するアルミの複合版を貼る)を取り付ける。
左は尾翼のパイプカバーにLEDを取り付けたもの(真ん中に取り付けるべきであった)
配線はパイプの中を通す。
 
配線図

本体に発光ダイオードと回路を取り付ける。
本体のイレクターをワンサイズ大きいイレクターに入れる。本体の回転はこれで十分。高さはストッパー(J−131)で調整。


尾翼のLED 昼間はちょっと見にくい。
尾翼は形体変更(残っていた複合版で作成)
プロペラと発電機を取り付ける金具の加工とプロペラ・尾翼の切り出しそれに電気系統の回路の作成が主な作業で、それらが揃えば組立ては1時間もかからない。
※ボルト締めには必ずスプリングワッシャーを使用すること(振動による弛み防止)

この状態になれば組立て簡単。
しかし、この状態に辿りつくまで手を替え品を替えかなりの日数を要した。


大まかな費用(消費税含まず)
 ハブダイナモ シマノHB-NX20x1 2900円
平金具(ダイナモ取り付け) 70円x3枚 210円
L型金具類 8本 2000円
パイプバンド 170円x3個 510円
アルミ複合版 910X450X3mmX1枚 1050円
イレクターパイプ 600mmx2本 360円
イレクタージョイント類 一式 800円
電気回路関係  一式(充電池含まず) 2000円
ボルト・ナット 3mm6mm一式ばら売り 300円
                     合計 約10220円
電子部品はパーツショップまたは通販で購入。ハブダイナモは時々お世話になっている自転車屋さんに注文(4〜5日で納品 少し安くしてもらった)その他はホームセンター及び100エンショップ。

               

現在のハブダイナモ風力発電
回転すると直ぐ発光ダイオードの点滅が始まる。
単3乾電池の充電状況については今は何ともいえない。


発光ダイオードの点滅が見えないのが残念。
写真下の左は太陽光発電パネル。右は制御ボックス。
制御ボックスまでの配線はパイプの中を通す。
ちょっと見にくいが頭には100エンショップのステンレス製ジョウゴを被せた。
※回転にトルクをつけるため各翼端には角座金(ボルトナット合わせて65g)を取り付けている。


                    自転車ダイナモ風力発電」について
1 所詮6V2.4wのダイナモ。加えて大きな負荷をかけてやると回転の抵抗が大きくなりそよ風程度では回転しない。せいぜい発光ダイオード点灯点滅と乾電池の充電位で実用性に極めて乏しい。
ただ、本物(家庭用)の風力発電機の発電能力をご存知だろうか。風による発電は風速の3乗に比例すると言われている。例えばA社の小型風力発電機は定格出力が240W、定格風力12m/sとある。
これは風速が秒速12mの時に240W発電するという意味だが熊本市の2002年の年間平均風速は2.4m/秒。仮に風速3m/秒とすれば1/4の3乗で発電出力は1/64、3.75wとなり、更に2m/秒になれば1.1w程度。ところがカタログには発電開始風速は2.5m/Sとある。平均値からだけでみると熊本市では発電不可ということになる。(ちなみに2002年熊本市の最大風速11.6m/s 1971年〜2000年までの26年間の平均風速は2.0m/s。 熊本地方気象台発表) 
回転すれば直ぐに発電を始める6V2.4wのハブダイナモ発電と150万円の立派な風力発電、場合によってはハブダイナモ風発に軍配が上がることもありそうだ。
(役場から紹介してもたった風力発電機屋のオヤジのトーンが低かった訳はどうやらこのへんにあったのではなかろうか)
2 なにはともあれ、風がなければ回転しない。しかし風が吹いているにも係わらずプロペラは一向に回転しないこともある。更にペイントをかけたように回ると見せかけて急ブレーキをかけくるっとソッポを向いたりもする。またある時はプロペラはサイドブレーキを掛けたままで本体だけがダンスしているようににクルクルと回って見せたりもする。更に周りの草木はおとなしく佇んでいるのに風車だけがクルクルと気持ちよさそうに回っている時だってある。
球磨川の支流等にヤマメを釣りにいくこともあるが(今年はとうとういけなかった)、風は岩や川石の間をウズを巻きながら不規則に流れる渓流同様、建物等周囲の環境に大きく影響を受けやすいことが判明した。
安定した回転を望むならTVや無線機のアンテナ並みに高く掲げるか、草原のような広い庭などの本流に掲げることが肝要。(自宅はマンションの1階の角。いわゆるビル風に見舞われている)
3 風がなければおとなしくしているが、風が強くなるとそれなり忙しく回る。更に台風がやってきそうな時はポールごと撤収し、そこにはなにも無かったかのようにしなければならないなど周りが忙しくなる(フェンスの支柱にポールをくくり付けているため本体を避難させるより一括して撤収した方が手っ取り早い。
ただ、いい年したオヤジがオモチャだかなんだか訳のわからない風車のようなものを担いでウロウロしている姿を世間の人は一体全体何と思っているのだろうか、とふと不安になることがある)
4 ちょっとくどいが6V2.4wのハブダイナモ風力発電は極めて実用性に乏しい。しかし今まで見ることの出来なかった風の正体の一端を垣間見ることが出来た。
風がある日は1日中プロペラを見ていても飽きない。
また回転と同時に見えなかった風が電気に変わってメーターを動かしたり赤い光に変身するのを見るとそれだけで十分楽しめる。(日中は見にくいため高輝度のLEDを追加予定⇒後日工事現場用の点滅赤色LEDを入手し(ホームセンターの特売で580円)点滅回路ごと取り替えた。夜間は工事現場並みの規則正しい光りを放つようになった)
風車は屋根の上とか草原に設置してその僅かな実用性(家庭用の風力発電機の場合)を求めるより、リビングからでも見えるところに置いて、そよ吹く風を目で見て楽しんでだほうが遙かに価値があるように思う。
5 優雅さを楽しむなら風車。 実用性を求めるなら太陽光発電。コストパフォーマンスのみを求めるならやはり電力会社からの電力購入ではないだろうか。
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筒型風力発電
筒型ハブダイナモ風力発電


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