ぐるり根子岳散策(鍋の平キャンプ村→日ノ尾峠→ヤカタガウド→天狗のコル→東峰→大戸根ルート→鍋の平キャンプ村)
深まり行く秋を求めて今年は根子岳を散策した。 根子岳と言えば、かつてマウンテンバイクで日の尾峠を越えた時、「鍋の平キャンプ村」から眺める紅葉の根子岳が朝陽と共に赤く染まっていくあの感動が蘇る。 スタートはやはりその朝陽が山を染める「鍋の平キャンプ村」 そしてその昔、南阿蘇(南郷谷)と北阿蘇(阿蘇谷)を結ぶ幹線であった日の尾峠を越えヤカタガウド側から山頂(天狗のコル)に辿り着き、それから東峰に渡って下山は穏やかな大戸根登山道を一気に駆け下りる。 平成19年11月10日は快晴で風も無く更に山は赤く染まった絶好の山歩き日和であった。 |
赤いラインはGPS(Forerunner305)で測定した実際の行動記録である。 尚、ヤカタガウド(根子岳から北西に伸びたギザギザのライン)は谷間のガレ場で衛星からの電波を満足に受信できなかったことで、GPSが勝手にラインを引いてハチャメチャな記録となっており、決して路を間違って迷った訳ではない。ヤカタガウドは頂上に向かって概ね真っ直ぐに伸びた石ころだらけの登山道である。 ただ、上色見の上から北西に棒のように伸びた赤いラインはゴールの鍋の平キャンプ村への近道と思って侵入した舗装道であったが途中でプッツリと途切れており、仕方なく引き返した記録である。 |
黄色いラインはGPSのデーターをGoogleEsrthに取り込んだもの。 |
6:33 前原集落 |
日の出前の根子岳 | |
6:50 鍋の平 標高 783m |
先ず阿蘇五岳最高峰の高岳を朝陽が照らして正体を現す。 本来は鈍い黄銅の溶岩山だが朝陽にライトアップされて、山が赤く宙に浮いた。 |
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6:55 鍋の平キャンプ村 |
高岳の東にそびえ立つ起伏の激しい山に目を転ずれば、秋の柔らかな光を受けて山頂から徐々にベールを脱ぐ根子岳がある。 阿蘇の秋の夜明けである。 肩を並べる高岳とは阿蘇五岳の所謂兄弟山であるがその様相は静と動、陰と陽、ネガティブとポジティブ、或いは親と子程の違いを感じさせる山である。 |
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7:03 鍋の平キャンプ村 標高 783m |
山から降りた朝陽がキャンプ村に届いた。 根子岳東峰寄りの山肌は未だ影っており夕日にそびえそうである。 そろそろ出発。 |
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7:17 鍋の平林道 |
放牧の牛に「峠は遠いかい」と問えどもつぶらな瞳で見つめるだけで黙して語らず。 写真右手が根子岳、左手が高岳方向。 |
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7:24 鍋の平林道 |
高岳も徐々に活気付いてきた。 |
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7:26 鍋の平林道 |
キャンプ場より1.8Km地点 根子岳西峰側 頂上だけが陽を受けて輝いている。 |
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7:50 日の尾峠 標高 1002m |
キャンプ場から2.8Km 案内板には 「この峠は阿蘇、南郷を結ぶ道として古来から重要な役割を果たしてきました。かつて南郷方面の人々は阿蘇神社詣でや、宮地郡役所へとこの峠を往来していました。」 とある。 上りもここまで、これより下り。 |
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8:10 鍋の平林道 |
峠を越え、北東から望む高岳 |
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8:14 鍋の平林道 |
北側からの根子岳 逆光で紅葉の山が黒くそびえている。 |
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8:19 鍋の平林道と根子岳登山道との分岐地点。 標高 802m |
鍋の平キャンプ村から約5km、1時間10分。 (途中カメラの電池蓋が外れて飛んでいくアクシデントに見舞われ約10分をロスしてしまった) 出発地点の裏の登山道に辿り着いた。 阿蘇谷の夜明けは遅い。 |
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8:20 分岐地点 |
お地蔵様に道中の安全を祈願し正面の根子岳に挑む。 奥に伸びる路が登山道。 |
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8:36 登山道 |
駐車場で出会った福岡から訪れたという登山者が 「この時期毎年来ているが根子岳の紅葉は九州で一番だと思っている。特に今年の根子岳の紅葉は素晴らしい」 と絶賛した。 |
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8:37 登山道入り口 |
車での乗り入れもここまで。 写真左上は記帳箱(記帳簿は一杯で余白は無かった) |
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8:43 ヤカタガウド登山道 |
幾つもの砂防ダムを越えると石ころばかりの登山道が待ち構えている。山道と言うより川原である。 谷底のため、GPSの電波は受信出来なかった。 |
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9:04 ヤカタガウド登山道 |
この石ころは山の崩落によるものと言われている。 しかし、大半は崩落したもろい火山岩ではなく長い距離を転がり角の取れた川原の石である。 ここはその昔この山が大山であった頃、さらさらとよどみなく流れる清流であったのだろうか。 |
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9:17 ヤカタガウド終点 |
眼鏡岩 後から続いて登ってきた登山者(毎週各地のどこかの山を登っているというベテラン登山家)の説明では「つい1週間くらい前に眼鏡の上部にもう一つあった輪が崩落して3つの輪が2つなった」との説明があった。 ここでガレ場の登山道とも別れ「←天狗岩 林の中へ」の標識に従って雑木林の登山道を行く。 下の写真は崩落前の眼鏡岩。 |
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崩落前の眼鏡岩 途中ベテラン登山家から普段気にも留めないような植物について詳しい説明を頂いた。 一つの山で幾つもの楽しみを味わえるのが登山の醍醐味なのかもしれない。 |
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9:48 天狗のコル 標高1384m |
急坂の自然林の中をひたすら登ると約30分で天狗岩の肩に出る。 途中下山する年配の夫婦に出会った。奥様が「かつて天狗岩にロープが張ってあった頃登っておいてよかった。今はとても登れない」と語った。 天狗峰(1443m)は年々やせ細りそして人を寄せ付けない岩山になっているのだ。 それにしてもこの時間に下山とは山頂からの御来光を堪能されたのか。 |
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9:50 天狗のコル 標高 1391m |
天狗のコルから地獄谷、南郷谷を望む。 根子岳北側の集落を「阿蘇谷」そして南側を「南郷谷」と呼ばれている。 因みに足元から下は断崖絶壁である。途中から同行したベテラン登山家が目の前の岩にハーケン(ザイルを通すクサビ)を見つけ「ほらほらここを登ってくるんですよ」と解説したので「高所恐怖症の私にはここを登ろうという人の気持ちがどうしても解せない」と返した。 |
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9:50 天狗のコル |
天狗のコルから東峰を望む。 遠景は祖母山系。 これから東峰に渡る。 |
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9:52 東峰横断路 |
(冬場は凍結で)横断禁止。 近い将来確実に横断不可となるだろう。 |
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9:55 東峰横断路 |
横断間もなく振り返れば天狗峰がそびえていた。 手前のちょっとした出っ張りの岩との間が先ほど南郷谷を眺めていた天狗のコル。 この岩のてっぺんに登る人がいるのが不思議である。 |
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9:55 東峰横断路 |
天狗峰と根子岳西峰。 後方は高岳(1592m) |
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10:03 東峰横断路 |
肩幅の半分ほどの先は断崖絶壁の路では、前を行く登山のベテランから「なるだけ重心を山側へ」とアドバイスを受ける。 もし足を乗せた岩が崩落の時期であったとすれば・・・・・・・・。 |
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10:21 東峰横断路 |
山と紅葉と光と風が一体となって秋を演出している。 横断途中一眼レフカメラ持参の登山者とも数名出会った。 |
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10:28 東峰横断路 |
蟻の戸渡り クレパスのような裂目に遭遇。 目的を達成するにはどうしても避けては通れない試練である。 安全地帯までは1m近く跳躍しなければ命の保証はない。見落としたり蹴躓いたり、はたまた着地に失敗したら阿蘇谷または南郷谷まで一転がり。 飛び越えるのに暫く躊躇した。 日々跳躍の距離が伸びているのは明白である。 |
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10:29 東峰横断路 |
正面のゴツゴツした溶岩壁もよじ登る。 くどい様であるが右側は絶壁である。 写真は途中から同行したベテラン登山家。 |
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10:29 東峰横断路 |
中央が東峰の西端。人影が確認できる。 | |
10:31 東峰間近 |
東峰も目前 振り返り、聳え立つのが天狗岩 右後方は高岳 どこをどう来たかよく解らない。 |
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10:35 東峰頂上 標高 1412m |
東峰からの眺望 最後の登りを終えると東峰の多くの登山者の中からから「スゴイですねー 向こうの山からよく来れましたね」と声が掛かった。 チョット気分がよかった。 しかし振り返って改めてよく見ると確かによく来れたものだと思った。 ベテラン登山家が腕時計を見ながら「約40分かかりましたね」と言った。 |
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東峰頂上 | 東峰からの阿蘇谷(北側)の眺望 左上の白い小さな点は仙酔峡「仏舎利塔」 |
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東峰頂上 | 東峰の広くない山頂は多くの登山者で弁当を開く場所の確保もままならない。 ベテラン登山家は東峰に到着すると間もなく来た路を引き返した。 小生はここで弁当を開き40分くらい頂上からの眺めを堪能した。 |
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東峰頂上 | 祖母傾山系 | |
東峰頂上 | 写真では判りにくいが天狗の峰の頂上には確かに人影が確認できた。 そろそろ下山。 帰りは大戸尾根ルートを下る。 |
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11:13 大戸尾根下山 |
岩場や石ころだらけでまるで要塞を守り万物の入山を拒むかの様なヤカタガウド登山道に相対してこの大戸尾根ルートは急坂ではあるが穏やかで、快く迎えてくれるもてなしの山道。 | |
11:20 大戸尾根下山 |
下山して間もなく大戸尾根からの根子岳のビューポイント。 三脚に一眼レフカメラをセットしたカメラマン数名が紅葉の根子岳にピントを合わせていた。 |
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11:45 大戸尾根ルート登山道入り口 標高865m |
山頂から登山道を一気に駆け下り30分少々で下山。 トンネルのような山道から一気に広々とした牧場に出る。 |
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11:47 大戸尾根ルート登山記帳箱 |
登山道出口(入り口)から 牧場を約100m降りると記帳箱がある。 好天の今日は多くの登山者がここを登り、また下ってくる。 |
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11:52 登山口駐車場 標高 806m |
車の進入はこれまで。 正面の柵から中に入り約100m進むと記帳箱が在る。 駐車場は満杯ではみ出た車が路肩に駐車。 「第2駐車場」と記された所もほぼ満杯であった。 |
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11:54 駐車所 |
「第2駐車場」付近からの根子岳の眺め。 | |
12:12 問題の三叉路 標高 746m |
正面右奥が「第2駐車場」へ続く路。手前の路約30m先には農面道路が走る。そして左奥が鍋の平への近道と間違った問題の路。 道幅約3、4mのアスファルトで鍋の平キャンプ村方向へ一直線であったが、約500m進むと山の中でプッツリと途切れていた。 結局引き返し農面道路を歩く。 往復で約15分時間をロスした。 尚この路はもう1台のGPS(LEGND)の地図には表示されてない。 |
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12:30 前原集落付近 標高 669m |
山の裏から中央の窪みに登り、そして東の峰に渡り、右斜面の大戸尾根を駆け下りた根子岳。 いよいよ今年の紅葉ハイクも終盤。 |
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12:51 鍋の平キャンプ村 (ゴール) 標高 |
朝 7:13にスタートした鍋の平キャンプ村に帰ってきた。 約5時間40分、紅葉を満喫した山歩きを終えた。 |
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12:52 鍋の平キャンプ村 |
根子岳は贅肉を剥ぎ取られ、そしてその骨までも砕け落ちようとしている老山(?)である。しかしそれだけに味わいがあり舐めてはかかれない畏敬の山でもある。 その兄山を両脇から赤いコートを羽織った弟山が支え守った文字通りの山である。 (閲覧者から地質学的には起伏の激しい山は若く、年を重ねるたびに角が落ちどっしりとした山になる、とのご指摘を受けました。人間と同じですね 08/05/30) |
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鍋の平キャンプ村 | Tim(時間) 5:42 Distance(距離) 14.86Km AveragePace(平均時間/km) 23:04/Km |
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